平成23年度事業報告書
自平成23年4月1日 至平成24年3月31日
Ⅰ.一般事項
昨年度を振り返ると、内外ともに「数十年ぶり」「史上…」と冠がつく、歴史に残る事件や災害が立て続けに発生し、世界の政治や経済の節目になりそうな年となりました。
3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発の事故は、わが国経済を停滞させ、特に輸出産業では、製品を組み立てる重要な部品の調達等に支障をきたし、回復までに半年以上の時間を要しました。また、地震の恐怖と原発の放射能汚染を恐れた外国人の来日が激減し、観光産業、料理飲食産業は計り知れないほど大きなダメージを受けました。
また、日本のみならず自然の猛威が地球上を覆い、2基の原発をとめたアメリカ東部地震、西日本やフィリピンを相次いで襲い大水害をもたらした台風、アイスランドやチリの火山噴火、パキスタンやタイを襲った大洪水禍など枚挙に暇がありません。
政治の世界にあっては、前年からチュニジアで始まったジャスミン革命が、大規模反政府デモや抗議活動としてアラブ世界に波及し、エジプトやリビアの長期独裁政権を打倒し、60年以上に亘って共産党一党独裁体制を続ける中国は、自国の体制に影響を与えるインターネット上の海外情報を、徹底的に抑え込みにかかりました。
更に、明日はわが国を思わせる米国債のデフォルト問題が発生し、ギリシャやアイスランド国債の返済危機に端を発した欧州各国の債務問題が、世界経済に多大な影響を及ぼし、ユーロ圏の通貨を今後維持できるかどうか、雲行きが怪しくなり始めた年と言えます。
その影響で、わが国の円相場は独歩高の状態に置かれ、大震災から一刻も早い立直りを目指す輸出産業にとって、ドル安ユーロ安の中で復興に水を差される結果を招きました。
中国にも欧州金融危機の影響は及び、米国に代わる主力輸出先となってきた欧州が中国製品の輸入を控え、これまで順調だった中国経済の成長率が鈍化し始めました。
我が国輸出産業は、タイの洪水により進出企業の工場が冠水し、完成品を失うばかりか日本で製造する製品の部品の供給が止まり、膨大な痛手を被ってしまいました。
震災被害の後遺症、円高不況、少子高齢化に伴う消費の縮小等々、昨年のわが国は史上稀にみる大きな試練の中に置かれましたが、多くの勤勉な国民の努力により、それらの試練の一つ一つに正面から立ち向かい、克服して新しい年を迎えました。
震災後暫くの間中国料理業界も、再起不能を思わせる事態に陥っておりましたが、中国料理の従事者は、そんな状況からの脱出を目指し、夏の初め頃から手探りで再生策を実行に移し、多くの店舗がかつての賑わいを取戻して亡新年会シーズンを終えました。
この再生策とは、“お客様の予算に合わせ、美味しい料理を提供する”という、業界の先人が不況に陥るたびに使ってきた知恵を拝借したに過ぎません。
暫くの間、厳しい試練が私たちを待ち受けているものと思いますが、厳しさを心して取り組めば必ず道は開けるものと確信いたします。皆様のご健闘を心から祈念いたします。
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